【特別号】㈱タフ・ジャパン様より大切なメッセージ

【特別号】㈱タフ・ジャパン様より大切なメッセージ

株式会社タフ・ジャパン 鎌田様より、

緊急事態への向き合い方についてメッセージを頂戴致しました。

 

【ご紹介】 

株式会社 タフ・ジャパン

代表取締役社長 : 鎌田 修広 様

http://www.tough-japan.com/

消防機関等公官庁への講演事業を中心に、防災訓練・危機管理研修・道徳教育・生活指導など、様々な分野でご活躍されています。

2019年9月に開催致しました弊所40周年記念講演会にも講師としてご登壇頂きました。

(40周年記念講演会の際の写真はとらい&GROW381号に掲載されています!)

 

とらい&GROW386号でメッセージの一部をご紹介し、

このページではその全文とダウンロード用PDFをご用意致しました。

 

鎌田先生、心強いメッセージをありがとうございました!

メッセージの全文をPDFでダウンロードができます。
タフ・ジャパンより大切なメッセージ.pdf
PDFファイル 1.1 MB

タフ・ジャパンより大切なメッセージ

 

全国で緊急事態宣言の解除が始まり、新しい日常が始まろうとしています。

しかし解除されても仕事に就けず、補償などの問題などで多くの方が混乱しております。

新型コロナウイルス感染症の終息を切に願っていますが、亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、感染された方々の早期回復を祈念しております。

そのような中、現在も社会を維持するために様々な現場で闘っている医療従事者や物流等のエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々に「ありがとう」という感謝の言葉を伝えます。

我々もそれぞれの現場で闘っていきますので、引き続き宜しくお願い致します。

 

今回の緊急事態は、有事ですが五感で感じにくく今でも「静かな大規模災害中」です。

視覚からの情報は82%ぐらいと言われていますが、他の自然災害と異なり、音や映像等で伝わりにくいため、頭では理解していても実感が伴わないのが現実だと思います。

そのような中で一喜一憂してはいけない感染グラフやスピード感のない様々な対応に何だかモヤモヤした「不安と怒り」の中で毎日を過ごしたのではないでしょうか。

 

「不安」…目に見えない脅威、将来起こる出来事の否定的な予想、先行きの不明瞭さなどにより生じる懸念の感情(失敗を回避するために、新たな挑戦への気持ちをくじかせる)

「怒り」…他者の反モラル的な行動に対して、または自分の所有物や権利が奪われたときに生まれるネガティブな感情(攻撃本能が活性化し、ヒト・モノに攻撃的になる)

 

私自身も皆様同様に、多くの出張等が中止や延期となり、家族3人で自粛生活を継続していました。非常に肩身の狭い毎日で、妻と息子には大変迷惑をかけていたと思いますが、ケンカもなく、ある意味穏やかに日々を過ごせたことに、あらためて感謝の気持ちで一杯です。長期戦になる覚悟はしていたつもりですが、自宅で1人自営業の自分でさえ背負うものが大きかったようで、4月の下旬には悪夢にうなされる日々が続いたこともあります。

これは大きな反省で、4月の前半には目の前のやるべきことより、7月あたりのことを先に手掛けていたのです。本能的に困難を避けていたのかもしれません。

困難は逃げれば逃げるほど追いかけてくるものとも言われていますので、いかに闘うか?

先の見えない現実を考えると、企業経営者や飲食業等の方々の心労は図り知れません。

 

今回は自分自身への喝も含め、メンタルやサバイバル的な視点も取り入れながら、困難への心の対処法を5段階に分けて一緒に考えていきたいと思いますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

 

①人間の本能を理解する

人は利己的遺伝子により本能的には自己防衛反応が1番強いと言われています。

しかし、人は他の動物に比べて大脳新皮質を発達させて道徳的(利他的)な思考を得たので、本能に支配されず、身内や隣人を守ることができます。しかしながら、本当の脅威や恐怖にさらされた場合、自己防衛という利己的な本能が勝ることを忘れてはいけません。

人はさらに進化して想像力(イメージする力)を得ました。デメリットの1つとして、近い将来に失業したらどうしよう?とかコントロールできない先のこと(未来ストレス)を考え過ぎてしまうため、心ここにあらず(メンタルが不安定)状態に陥ってしまうのです。

 

まず1番に行うことは、今は有事「静かな大規模災害中」と理解し、受け入れること。

そのためにサバイバルの世界で危機に直面した時に行う行動指標「STOP」の法則に従い、緊急事態宣言と共に、まず立ち止まって体を落着かせる(Stop)そして頭を落着かせて考える(Think)次に落ち着いた身心で今置かれている状況を観察・把握する(Observe

この時、多くの情報を広範囲で集め、正しく恐れるためにデマ等に惑わされず本質を見極めることが重要。最後は生き延びるために計画し、行動を開始する(Plan)という流れです。

 

 

②紙に書きだして整理する(ST

例えば、不安をコントロールできないことと、できることに分けて考えてみましょう。

できないこと=時間・天候・温度・湿度・他人の行動・宣言や解除・仕事の依頼

できること=自粛行動・手洗いや消毒等・体温・言葉・思考・姿勢・呼吸・仕事の仕方

 

大事なことは今ここ集中「NOW&HERE

できないことばかりにフォーカスすると「無力感」に支配されて不安が増大します。

(出口のない真っ暗なトンネルの中で迷子になったイメージ)

だからこそ今自分にできることに集中して毎日小さな達成感を感じながら積み上げていく。

(明るい出口を信じて少しずつ階段を積み上げていくイメージ)

 

 

③冷静になって正しく恐れる(TO)

4年前からSDGS(持続可能な開発目標)などで我々の視野が徐々に広がっていましたが、今回の感染は世界規模に拡大していることを通じ、あらためて世界が繋がっているということを再認識させられました。

「地球は一つの舟であり、 誰もこの現状から逃れられない。もはや他人ごとではない。」

今だからこそ世界の状況や世の中の動向を受け入れ、乗組員の1人として、まず許すこと。

この段階でやってはいけないのが、誰かを責め続けることです。

仏教でいう三毒(欲望・愚痴・怒り)は、生きるエネルギーにもなりますが、使い方を間違えると人間を苦しめる元凶になり、猛毒にもなりうるのです。

この三毒に捉われてしまうと、人生をダメにするかもしれません。

「誰も悪くなくても悲しいことは起こるのです。」

では一体どうしたら良いのか?それはできるだけ「欲を離れる」こと。

自ら欲とのソーシャルディスタンスをコントロールして抑制するよう努めることなのです。

つまり物事を本能で判断するのではなく、理性で判断する習慣をつけること。

例えば卓球のラリーの様に来た球を本能的に打ち返すのではなく、野球のキャッチボールの様に、一度グラブの中にボールをおさめた後、ボールをつかんで縫い目やメーカーなどを良く見てからゆっくり返球するぐらい「理性のワンクッション」が必要なのです。

つまり、今は特別な時間を与えられたので、ゆっくり動き、ゆっくり考える。そして目の前の今を視覚情報だけに頼らず多くの感覚情報を研ぎ澄ませながら集めていくことなのです。

本当のレジリエンスは「辛抱・我慢・忍耐」から生まれるとも言われていますので…。

  

 

④考え方・捉え方を柔軟にし、行動を変える(OP

英国の偉大な科学者ニュートンは、学生時代にペストの流行で大学が閉鎖となり、ロンドン郊外でゆとりある思索のなかで万有引力の法則を発見したと言われています。

彼は、大学休校期間を「創造的休暇」と呼んだという逸話もあるそうです。

特別な時間を与えられた中で、ゆっくり考えたのでしょう。

 

稲盛和夫さんの「生き方」という本には、人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力であると書かれています。掛け算のシナジー効果はスゴイ。しかし1番大事なのは考え方の部分であり、プラスにもマイナスにもなる。つまりどんなに熱意や能力があっても考え方のベクトル1つで結果が大きく違ってくる。この困難をどう捉えるか? 視野が広がればモノの見え方は変わり、考え方も変わる。つまり自分次第なのです。と書いてありました。

 

北野武さんの「新しい道徳」という本には、日本人の国民性として何でも曖昧にしてはっきり白黒をつけない、ノーと言わないなど、グレーな部分が大半を占める国民性はネガティブな評価であるが、ある意味時代に合っている。理由は日本にはっきりした四季があるから…

春夏秋冬と生活が変わるから、心持ちが変わる、考え方も変わる。と書いてありました。

 

言い換えれば我々は「しなやかで柔軟な思考」を元々備えていることが真の強みなのだと気づくことが大事なのであり、耐震構造である耐震⇒免震⇒制振という時代の流れと同様、真に強いという概念は固まった土から常に柔らかく耕している状態のことに変化したのです。

今回の緊急事態宣言の自粛要請等にかなり当てはまるので、紹介させていただきました。

 

以上、3つの話から考え方・捉え方を変えるための勇気やヒントをいただきました。

先ほど「怒り」などに関しては生きるエネルギーにもなりますが、使い方を間違えると猛毒にもなり得るので、欲から離れるために物理的な距離をとり、抑制(ブレーキコントロール)しながらゆっくり考えることをお伝えしました。

「不安」に対しては、メンタルブロックという思い込みのフタを外すことが求められます。

不という字が人の形をしていて、部首である一(いち)が頭に乗ったフタと思ってください。

本来頭の部分は〇で描きますが、重たいフタのせいで、思考がつぶされているイメージです。

このままでは苦しいのでどうしたらフタは外れるでしょうか?何が重りなのでしょうか。

実はネガティブ感情のブレーキ(固定概念など)は想像以上に重たいのです。

 

今までの凝り固まった思考だとあれできないこれ無理となり、生きるのがさらに苦しくなってしまいます。困難な時代という時の流れに沿って、身を任せてみてはどうでしょうか?海水浴場の離岸流ではないですが、流れに逆らって無駄な体力を使わないことが生き延びるための手段でもあるのです。

着衣泳でいう「浮いて待て!」のように体力を使う泳ぎを選択せず、浮いたまま冷静に状況を見て判断・決断するのです。柔らか頭で考えるためにはブレーキとなっている重りを外し、(オートマ車のブレーキから足を外すと勝手に前進するイメージ)徐々に頭の形が回復することで、この状況から浮上しやすくなるはずです。

 

さらに考え方をプラスにするということでわかりやすいのが、「辛」という現状を表す漢字、なべぶたにも見える上の部分が頭(思考)だとしてそこを+に変えると「幸」に変わります。

本などから学ぶことも多いですが、事実をどう捉えるか? 本当に自分次第だと思います。

 

 

⑤「新しい日常」へのチャレンジ

人は本来、恒常性(ホメオスタシス=内部状態を一定に保って生存を維持する現象)という性質があるので、急激な環境の変化を嫌い、本来の自分の方(前例)へ引き戻そうとします。

つまり「新しい日常」を受け入れるためには、恒常性との闘いとなります。

弾丸登山だと身体が順応せず高山病にかかって下山を余儀なくされるので、ここは3か月~半年以上の時間をかけてでも、ゆっくり動き、ゆっくり考え、徐々に浸透させ、脳が錯覚するのを待つのです。あれ?どっちが日常だったのか?と…

それでも継続していくと、気が付けば脳が「新たな日常」を受け入れ、書き換えが終了し、

非日常が日常になっていくのです。

 

竹の成長過程は有名なお話で、「逆境という苦労が節の多い強い人間をつくる」とも例えられています。竹は節の部分だけ成長に時間がかかりますが、光という明るい目標に向けて努力を続け力を蓄えると、停滞後に大きな飛躍(1日1m以上成長)が待っているそうです。 節を突き破る力=自分自身が変わる事とも捉えられますね。

 

既にご存知だとは思いますが、「ありがとう」の反対は「あたりまえ」です。

今まで「あたりまえ」だった日常に感謝し、今後も自分の行動と心にブレーキをかけながら、困難から逃げず、コントロールできることを中心にチャレンジしていきたいと思います。

 

 

 

                       株式会社タフ・ジャパン 鎌田 修広

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