宇久田税理士事務所発行の事務所通信 とらい&GROW454号(2026年2月)
コストには経営者の方針が表れる…と思う
皆さまこんにちは、宇久田秀雄です。20年ほど前の古い話になりますが、私はビジネススクールに通っていたことがございました。当時は時代背景的にベンチャーでの起業も多く、シリコンバレーでの成功事例などアメリカ型経営(特に戦略的ビジネス)をお手本とする傾向がありました。これらの傾向は日本での企業経営、特に中小企業においてはミスマッチで、あまり馴染まなかったように思いますが、私自身は勉強になったことが沢山あり、その中でマーケティングの授業では、コストについて限られた手元資金をどこに投下するかということについて大変考えさせられる内容だったと記憶しています。
売上を伸ばすためには売れる商品を沢山仕入れておく必要がありますし、組織を強化するなら人材確保や社員教育等にコストをかける必要もあります。自社の企業イメージや自社商品のブランド価値を上げていくには広告や販促が必要ですね。しかしながら商品を沢山仕入れても売れなければ不良在庫となるかもしれませんし、組織強化のための社員教育や販促のための広告などは効果が不明瞭です。お金をかけても、それがそのまま損失となることもあるわけで、つまり企業は何をするにもリスクが生じます。リスクを負わなければ勝負できないわけですが、ビジネスは勝負ではありません。「勝負(かちまけ)」でいうなら「勝勝」または少なくとも「勝勝負」という「負」より「勝」が多くなることが前提ということになりますので、リスクを最小限に抑えて勝っていくことが必要になりますが難しいですよね。
企業の資金投下は中小企業では特に経営者の方針に左右されます。支出はすべて経営者の意思決定に基づいて行われるわけですが、起業をしてしばらくは何にいくら使っているかといったことが見えていますが、売上も増えて取引数が増加してくると徐々に支出の詳細が見えなくなっていきます。そうすると一つ一つの支出に意思決定を行っていられないため知らないうちに自然と支出が増えていきます。この「知らないうちに」という部分が難しいところで、放置しておくと意図しない方向(リスクが大きくなってしまう方向)に進む可能性があります。ここで経営者の「方針」が大切になってまいります。この方針には「道徳性」が必要と学んでいます。二宮尊徳翁の「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉はあまりに有名ですが、支出にこそ道徳が必要との考え方もございます。経営者が示す「方針」が読んで字のごとく意図する方向への舵取りをしてくれるのだと思います。
寒い日が続いております、暖かくして過ごしてまいりましょう。
(宇久田 秀雄)


