宇久田税理士事務所発行の事務所通信 とらい&GROW446号(2025年6月)

大きいことは、後がないこと(安定とは異なること)

資本主義経済・自由主義経済は、競って競って相手を駆逐しながら、大きく大きくして相手の追随を許さないところまで伸びきるのを旨としている。

スーパーを例にとってみよう。かつてダイエーがスーパーの雄であった。このダイエーも小さな商店を吸収し買収して大きくなった。
一方イトーヨーカ堂も似たようなもので、当時ダイエーは自社で建屋を所有する自社所有型、対するヨーカ堂は自社では保有せず賃貸型、どちらが勝利するか話題であった。

順風満帆の経営は、まずダイエーが多大な投資が重荷となって頓挫した。やがてヨーカ堂も売り上げ減少に耐えられず、有名店舗を閉じるに至った。
競って大きくしたのは何故だったのか。このまま売り上げが伸び続けると思ったのか、消費者心理を見誤ったのか、いずれにしろスーパー両雄の時代は終わった。

最近の大企業の話題は、パナソニックの1万人リストラに続き、シャープの亀山工場の売却、日産も2万人リストラに続く大赤字。いずれも大きくなりすぎた組織は続かないということを証明している。これが資本主義の宿命か。これではそこで働く社員はたまらない。生活をかけて家族を養っているのだ。

このように、大きくなり過ぎた駆逐艦はモーターボートのように小回りを利かせて方向転換することはできない。今売れてるからと言って、ずっと売れ続くとは限らない。

これからの時代、むしろ小規模企業・ファミリー企業に期待したい。小規模企業は常に成長段階にある。この常なるイノベーションを繰り返すところに面白み生きがいが生まれる。お客様の意向を肌で感じ取り、すぐさま販売に直結出来るのも強みだ。

大企業は安定かといえばそうでもない。いまはファミリー企業が隠れた人気だ。
同じ苦労をするなら小規模企業に注目したい。

(宇久田 進治)