宇久田税理士事務所発行の事務所通信 とらい&GROW442号(2025年2月)
ニッポンを人出不足にした主原因
ニッポンは激しい人手不足に覆われている。これは一体どういうことか?その原因を私なりに勝手に探ってみた。高齢化社会・人口減少が影響しているがそればかりではない。複合的に要因が重なってのことであるがその主な原因を三つにまとめてみた。
第1は役所、教職、企業などの現場において、これまで働き手が定年を迎える年齢が早すぎたようにも思う。55歳、60歳、65歳となり、今では70歳まで働いてくださいとなっている。厚労省は推移を見誤ったのか、元気な退職者(年金生活者)が街にあふれた。技術の進歩にブレーキをかけた一面もあると思う。
第2は急速に進んできたIT革命である。確かに合理的なイノベーションによる生産性向上は一理ある。ただ、やみくもなIT化によって、むしろ現場での作業は煩雑になり作業効率を悪化させたケースも少なくない。何でもできるITは便利さと引きかえに仕事を増やしかねない。合理化の逆を行っている本末転倒感もめない。業務の取捨選択は必須である。
エビデンス(証拠造り)は仕事の本質ではない。情報は生きた情報があれば足り、何でもかんでもではない。
第3はニッポンの文化でもある丁寧さ、おもてなし文化である。丁寧は時間がかかる。
おもてなしサービスはロボットではできない。
人手と目に見えない時間を要する。だが、この部分は失いたくない。誇るべきニッポンの歴史的文化であり、効率重視ばかりになると日本らしさを失ってしまう。
人手不足倒産は今しばらく続くだろう。需要と供給がバランスしていないから。
だが、やがて需要に応じた供給になるのだろう。バランスが取れるまで、ここ数年が山だろう。
社会の対応力が皆に求められている。
(宇久田 進治)
