宇久田税理士事務所発行の事務所通信 とらい&GROW449号(2025年9月)

アルバイトの経験から・・・

皆様こんにちは、宇久田秀雄です。私は高校生の頃に藤沢のデパート地下の八百屋で1年半ほどアルバイトをしておりました。八百屋といっても当時は新宿に本店のある大手スーパーの野菜部門が入居しておりましたので品物の等級は「特」や「秀」、悪くても「優」といった良い品質のものを置いておりましたが、雰囲気はまるで商店街の八百屋のように野菜を売っていたのを覚えております。
「いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい‼ご利用くださいどうぞー‼」と気が小さいですが声だけは大きい私は張り切って野菜を売っておりました。
夕刻になるとお客様も増えてかなりの活気となり、我々も売れ残すまいと多少値引きもしながら必死に売ります。ある日特売としていたアスパラガスが売れ残っておりました。
特売3日目で仕入れてから少し日が経ってしまって、また陳列棚でお客様が手に取っても戻されたりもするので、先が傷んでしまったものが残ってしまっていました。私はこれを売るのは無理だと諦めかけていたときに副店長がやってきて、その傷んでいたアスパラガスの先っぽをすべてカッターで切り落とし、3本束300円で売っていったものをテープで6本束にまき直し200円のシールを貼りました。
アスパラガスは先っぽが美味しいのに、それを切り落としてしまっては絶対売れるわけがないと思っていたのですが、すべて売れました。最後の6本束も閉店間際に来られたお客様が「野菜炒めのかさましに・・・」と喜んで買っていかれたのです。
この時にもし売ることを諦めていたら捨てるしかなかったわけですが、売ることを諦めない副店長の気持ち・・・、お客様が喜ばれたこと、大変に驚いたことを覚えております。
このアルバイトをしていたとき、特にたくさん売ったからといってお給料が上がるわけでもないのになぜ一所懸命に売っていたんだろうと考えることがあります。
近年の人件費の高騰、人材確保困難、仕入れ商品・資材の高騰、燃料等の高騰・・・。中小企業にとって八方塞がりのような危機的状況ですが、このアルバイトのときの経験にヒントがないか、古い記憶を思い出したりしています。
残暑厳しい折、皆様どうぞご自愛ください。

(宇久田 秀雄)