宇久田税理士事務所発行の事務所通信 とらい&GROW443号(2025年3月)
エンゲル係数が 1982 年以来の高水準に
実質賃金アップを政府は声高に言い続けている。物価の値上がりを超える賃金の伸びを期待してのことであるが、物価の伸びはある程度のところまで来ている。
一方、賃金の伸びはそうはいかない。特に全体の70%を占める中小企業の苦労が目立つ。やむを得ず上げていくが、とても大手企業のようにはいかない。これは大手と中小の下請け構造による影響もあり、すぐには解決できるものではない。
実質賃金の伸びが追いつかないとしたら、どうしたら良いか。いま特に苦しんでいるのは社会保険料の大きな増額である。
この社会保険料の増額は、所得税、他の負担を越え家計を圧迫し続けている。これは高齢化、人口減少により致し方ない点もあるが、何とかしなければと思う。
(※財務省公表の国民所得比の“社会保障負担率”は1970年当時5.4%でしたが2024年現在では18.4%まで上昇しています。)
例えば、「社会保険加入者を増やす」とか「医療費の増大を食い止める」なども必要かもしれないが、それに加えて効率的な運用によってもカバーできないものか。このままではパンクしてしまう。管轄省庁と負担者の両方の意識改革も必要だろう。
あらゆる家計支出の見直しも必要だろう。例えばそれは避けがたい支出ですか?それとも便利支出ですか?もしくは遊興娯楽費ですか?日ごろから気を付けておきたい。
企業も同じことで、これからもっと支出の中身を見直すべきだろう。無駄を削って収入に見合った支出に限定されていくでしょう。それでないとニッポンの国は持たない。もっと大変なのは、さらなる二極分化です。富める者は富み、貧しき者はより貧しくなってしまいます。
二極化に戸惑う中間層。穏やかで人並みの生活を得るために、激しい新たな戦いが進んでいるようにも感じます。
(宇久田 進治)
