宇久田税理士事務所発行の事務所通信 とらい&GROW436号(2024年8月)

中小企業たよりの日本経済なのに

日本経済は中小企業でもっていると言っていい。企業数の99.7%、従業者数の70%を占める中小企業。一握りの好調企業を除き、今そんな企業が存続の危機に陥っている。
原因はデジタル化への対応遅れ、人員確保の遅れ、需要(売上)不足が挙げられる。

デジタル化の遅れは、急速に進んだデジタル化に伴う投資がままならない為で、もう少し時間が欲しい。しかもデジタル化によって生産性が上がったか?それは返って手間がかかり、生産性のアップには寄与していない面が見られる。デジタル化は打ち出の小槌ではない。分析ばかりやっていても生産性はアップしない。

こんなに早く、こんなに簡単に、今まで3人でやっていたのが2人でできる。便利この上ないのも確かだ。ロボットも大いに寄与しているが、これには多くの投資資金が必要になる。この困難な事態をどうしても乗り越えていかねば、中小企業の生き残る道はない。

実はこの大規模、大手企業優位の社会は将来に渡って中小企業を圧迫し続ける。
例えば、年金である。生涯もらう年金の額でも差がつく場合が多い。退職後の国民はほぼ平等の額で良いのでは?

最後に、国の中小企業政策だ。これには大いに疑問が残る。大きいことが良いことという考えが未だにあるような気がしてならない。
何しろ大規模が良いと、大規模農業、大規模店舗、みんな大規模を基準に、小規模が排除された。
小規模ファミリービジネスが生きがいだった店舗、工場は撤退を余儀無くされた。
人のぬくもりの消えた商店街、これは代えがたい損失だ。欧州に見る代々続く家内工業。そこは誇りと自信に満ちている。

合理性、効率性のみで経済を諮ったならば、永久に真の成長はないと思うのだが・・・・・。

(宇久田 進治)